【倒産体験記】⑨倒産から3カ月

倒産体験記

倒産から3カ月。

少しずつ、周囲も自分も“次のステージ”へ動き始めた。

転職活動、始動。

とにかく生活を立て直さなければ――。

そう思い、転職サイトに3つ登録した。

思っていた以上に“倒産経験者”に親身になってくれるエージェントがいて、ありがたかった。

面談ではこれまでの経緯を一から話すことになったが、否定的な反応はなく、むしろ「よくここまで踏ん張りましたね」と言ってもらえたのが救いだった。

現在は、紹介された中から自分の希望条件に合う数社に絞って対策中。

焦っても仕方ない。ひとつひとつ、丁寧に準備している。

旧会社と新会社の行方。

倒産手続きの中で、譲渡先が正式に決定した。

来月には新会社が設立され、残った従業員たちはそちらへ移籍することになった。

私は、新会社と旧会社の両方に所属する形になった。

旧会社は今後1年間、残債処理のためだけに存続する“殻”のような状態だが、その業務を担うため、在籍扱いとして関わることになった。

ありがたいことに、新会社からはこれまでどおりの給料が支払われ、さらに旧会社からは報酬として月20万円を、最長で1年間受け取れる見込みだ。

まさか「倒産後に2社から報酬を得る」とは思ってもみなかった。

粛々と整理が進む中で、少しだけ“救い”のようなものを感じた瞬間だった。

そして、副社長の失脚。

そんな中で耳に入ってきたのが、副社長の「経費私的流用」問題。社内では以前からうわさがあったが、正式に発覚し、彼は会社を追われた。正直、驚きというより「やっぱり…」という気持ちのほうが強かった。

少しずつ、前へ。

振り返れば、まだ何も終わっていない。

会社も、わたし自身も、過渡期のままだ。

でも、不思議と気持ちは少し軽い。

倒産直後の“真っ暗闇”から比べれば、今は前が見える。

小さくても、確実に一歩ずつ進んでいる――そんな実感がある。

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