―― 「決める前に考える」ことの大切さ ――
内定をもらった瞬間、ホッとしたのも束の間
転職活動をしていると、
最初の内定をもらった瞬間、ほっと胸をなでおろす人は多いと思います。
私もそうでした。
「ようやく終わった」
「これで次が見つかった」
そんな安堵の気持ちがこみ上げてきたのを、今でも覚えています。
でも、数日たつとふと不安がよぎりました。
「本当にこの会社でいいのか?」
仕事内容も悪くないし、給与も許容範囲。
ただ、面接中に感じた小さな違和感が頭を離れなかったのです。
“なんとなくの違和感”を見逃さない
私が一度目の転職で失敗しかけた原因は、
まさにこの「小さな違和感」をスルーしてしまったことでした。
面接で感じたのは、
「社員が疲れているように見えた」
「社長がずっと一方的に話していた」
そのときは、「そんなものか」と流してしまいました。
けれど、実際に入社してみると、
上からの指示が多く、社内のコミュニケーションも少ない職場。
あの違和感は“サイン”だったのだと、後から気づきました。
チェック①:その会社の「雰囲気」は自分に合うか?
転職先を選ぶとき、
年収や仕事内容よりも大事なのが「雰囲気の相性」です。
会社は人の集まりです。
つまり、“どんな人たちと働くか”が働きやすさを決めます。
- 面接官の対応は誠実だったか?
- 社員同士の会話に笑顔はあったか?
- 会社の空気に「安心感」があったか?
これらを思い出しながら、自分の直感に正直に向き合うことが大切です。
チェック②:条件よりも「続けられるか」を重視する
倒産を経験した私にとって、
二度目の転職では「安定して働けるかどうか」が最も大きな判断軸でした。
もちろん給与も大事です。
でも、それ以上に大切なのは、長く続けられるか。
- 通勤時間や勤務時間は現実的か?
- 家族との時間を確保できるか?
- 自分の体力・年齢に合った働き方か?
これらを無理して「まあ大丈夫だろう」と思ってしまうと、
入社後に負担が積み重なり、結果的に転職を繰り返す原因になります。
チェック③:家族の意見を“第三の目線”として聞く
意外と見落としがちなのが、家族の意見。
転職は本人だけの問題ではなく、
家計や生活リズムにも影響を与える大きな決断です。
私の場合も、倒産後の再就職活動の際、
妻からの「今度は時間に余裕のある職場がいいね」という一言が、
結果的に医療法人への転職につながりました。
自分だけでは気づかない“現実的な視点”を、
家族が持っていることは多いものです。
チェック④:会社の「これから」を見て判断する
今の業績だけでなく、
その会社の“未来”を見ることも大切です。
- 業界の成長性はあるか?
- 社長や上司の考え方は前向きか?
- 変化に対応しようとしている会社か?
私が最終的に入社した医療法人も、
「医療と地域をつなぐ新しい形を作りたい」という理念に共感しました。
自分がその未来に貢献できそうか――
そう思える会社を選ぶことが、長く働くうえでの支えになります。
最後に:転職は「選ばれる」より「選ぶ」こと
転職活動をしていると、
どうしても“採用される側”という意識が強くなりがちです。
けれど本当は、
企業に選ばれるだけでなく、自分も企業を選ぶ立場。
焦って決めるよりも、
自分の価値観に合う場所を見つけることが、結果的に一番の近道です。
まとめ:自分の軸を持って、冷静に選ぶ
転職を後悔しないためには、
「条件」よりも「納得感」を大切にすること。
給与、仕事内容、人間関係、価値観――
すべてが完璧な職場はありません。
でも、自分が何を大事にしたいのかを整理すれば、
「ここで頑張ろう」と思える職場に必ず出会えます。
次回予告:第10話「転職して得た3つのこと」
次回は、転職を通して私自身が得た3つの大切な気づきについてお話しします。
倒産から再出発までの道のりで見えた“仕事と人生のバランス”を、
率直に振り返っていきます。
