―― 想像と違った“現実”の中で気づいたこと ――
新しい環境で感じた“違和感”
転職初日。
新しい職場の空気を吸い込みながら、「今日からまた頑張ろう」と自分に言い聞かせました。
前職と比べて人数も少なく、雰囲気は穏やか。
ただ、その分ひとり一人の役割が重く、自分の判断が仕事の流れを左右することに少し緊張しました。
「経験者として期待されている」
その言葉が、うれしい反面、プレッシャーにもなっていました。
思っていたよりも“文化の違い”が大きかった
入社して数週間が過ぎるころ、
仕事の進め方や人間関係で、少しずつ戸惑う場面が増えていきました。
前職では、「報告・相談・共有」を徹底する文化。
一方、新しい職場では、各人がかなり自由に動くスタイルでした。
最初は「柔軟でいい会社だな」と感じていたのですが、
実際に仕事をしてみると、情報共有のタイミングが合わないことで小さなミスが生じることも。
「これは前の会社では当たり前だったのに…」
ついそんな言葉が口から出そうになる自分に、
“まだ自分が前の職場の感覚を引きずっている”ことを痛感しました。
「郷に入っては郷に従え」だけでは足りない
転職して気づいたのは、
「郷に入っては郷に従え」という言葉は確かに正しいけれど、
それだけでは馴染めないこともあるということです。
ただ従うだけでは、自分の良さが埋もれてしまう。
一方で、前職のやり方を押しつけると、反発を招く。
その間で悩んだ末、私は次のように考えるようになりました。
「“合わせる部分”と“変えない部分”を分けよう。」
たとえば、会議の進め方やルールは会社に合わせる。
でも、お客様への向き合い方や誠実さだけは自分の軸として守る。
そうすることで、少しずつ周囲から信頼を得られるようになっていきました。
一番大切だったのは「聞く力」
転職してから特に意識したのは、「話すこと」よりも「聞くこと」でした。
新しい職場では、わからないことがあって当たり前。
それを隠すよりも、素直に質問して教えてもらう姿勢が何よりも大切だと感じました。
実際、「すみません、ここはどう進めるのが一番いいですか?」と素直に聞くと、
意外なほど親切に教えてくれる人が多かった。
そこから少しずつ距離が縮まり、
いつしか「〇〇さん、ちょっとこれ見てもらえますか?」と頼られるようになっていきました。
自分を変えることは怖くない
転職をして環境が変わると、
どうしても「自分のやり方」を手放すのが怖くなります。
でも、それは“これまで頑張ってきた証”でもある。
だからこそ、すべてを捨てるのではなく、
新しい職場で通用する形に“アレンジ”していくことが大事だと思いました。
それが結果的に、
「この人は柔軟だけど芯がある」という印象につながり、
信頼関係を築く近道になった気がします。
まとめ:転職の本当のスタートは“入社してから”
転職活動中は、どうしても「内定がゴール」と思ってしまいがちです。
しかし、実際には入社してからが本当のスタート。
新しい環境に慣れ、自分の立ち位置を築くまでには時間がかかります。
でも、焦らず、相手を理解し、自分を少しずつ出していくことで、
「この職場に来てよかった」と思える日が必ず来ます。
次回予告:第9話「転職して後悔しないためのチェックリスト」
次回は、転職活動中に意外と見落としがちな「判断基準」について。
私自身が二度の転職を通じて気づいた、後悔しないための見極め方をお話しします。
