「倒産」とひとことで言っても、じつは 民事再生・破産・会社更生 と種類があります。
私自身の会社は民事再生でしたが、同じ「倒産」でも社員の動き方はまったく違うんだ…と身をもって知りました。
この記事では、各手続きのちがいや、社員としてどう動くべきかを体験談を交えながらまとめています。
倒産=会社が完全に終わる…ではない
倒産と聞くと、多くの人が「会社が消える」「全員クビ」とイメージしがちです。
実際、当時の私もそう思って青ざめました。
でも、実際には3つの制度があり、
それぞれ 会社が続くのか、消えるのか、救われるのか が全然違います。
- 民事再生 → 会社は続く
- 破産 → 会社は終わる
- 会社更生 → 会社は続く(大企業向け)
まず、ここを理解するだけで気持ちが少し落ち着きます。
民事再生:事業は続くが“給与や雇用の不安”は大きい
私が経験したのがこの 民事再生です。
●民事再生とは?
会社を残すために、債務をカットしながら再建をめざす制度。
社名も本社もそのまま、日常の業務も続きます。
●当時のリアルな空気
再生申立の朝、社内はざわつき、
「うち、どうなるの?」
「給料は出るの?」
誰も答えられない状態でした。
私も帰りの電車の中で、
「今日で終わりかもしれない」
と手が震えました。
●社員がとるべき対応
- まず冷静に“今後の雇用”を会社に確認する
再生=全員残れる、ではありません。事業を引き継ぐ会社が出れば、そこに移る人・残る人が分かれます。 - 給与と退職金の支払スケジュールをチェック
再生手続き中は支払いが遅れたり、カットになる場合があります。 - 転職活動はこっそり同時進行する
私も事業譲渡の話が進む中、3社から声をかけてもらい、選択肢を持てたことで心が安定しました。
“会社は残るけど、社員全員が残れるわけではない”
これが民事再生の現実です。
破産:会社は消える。社員はできるだけ早く動くべき
●破産とは?
会社が完全に清算される手続きで、事業は終了。
社長も社員の雇用もなくなります。
●社員が取るべき対応
- すぐに離職票の発行時期を確認する
- 給与・退職金の未払いがあれば“未払賃金立替払制度”をチェック
- 即転職活動を始める
破産の場合は「迷うより先に動く」が鉄則です。
会社が消えるため、残るという選択肢がなく、時間があきらかに不利になります。
会社更生:大企業向けの“再建手続き”
あまり馴染みのない制度ですが、JALなども経験しています。
●会社更生とは?
大企業を守るための制度で、基本的に事業は存続。
経営陣は総入れ替えされ、裁判所管理のもとで再建します。
●社員がとるべき対応
- 雇用は比較的守られやすいので、情報収集が最優先
- 部署再編・人員整理にそなえて準備しておく
- 希望退職募集が出たときは条件をよく見極める
一般の中小企業にはほぼ使われませんが、社員視点では
「民事再生より安心度が高い再建」
というイメージです。
倒産手続きは“社員のせいではない”
当時、私は自分を責めました。
「もっと売上を上げていれば…」
「もっと頑張っていれば…」
でも、今思うのは
倒産は社員個人の努力では止められない
ということです。
資金繰り、経営判断、外部環境…
社員がどうにもできない理由の方が圧倒的に多い。
だからこそ、社員ができるのは
状況を正しく知り、最善の行動を選ぶことだけ。
この記事が、同じ状況で不安を抱えている方の
“心の支え”になればうれしいです。
最後に:私からのメッセージ
倒産直後は本当にしんどいですが、
私は10数年後の今、
「倒産で人生が終わるどころか、むしろプラスになった」
と本気で思っています。
あの経験があったからこそ、
転職で新しい世界を知れたし、
今は心にゆとりを持って生きられています。
もしあなたが今、同じように不安を抱えているなら、
必ず道は開けます。
焦らなくて大丈夫です。
