最近、「倒産が増えている」というニュースを耳にすることが多くなりました。
景気が少しずつ戻ってきたように感じる一方で、なぜ企業の倒産が増えているのでしょうか?
今回は、ここ数年の倒産件数の動きや、その背景にある理由を、できるだけやさしく説明していきます。
倒産件数は少しずつ増えている
帝国データバンクなどの調査によると、2024年度の企業倒産件数は1万件を超える見込みです。
これは5年ぶりの高水準で、じわじわと増え続けています。
2025年の上半期(1〜6月)だけを見ても、5,000件を超える倒産が起きています。
その多くは中小企業や個人経営の会社で、いわゆる“大企業の大型倒産”はあまり多くありません。
つまり、表には出にくいけれど、地域の身近な会社が静かに倒れているのが今の現状です。
倒産が増えている理由は?
倒産が増えている理由はいくつかあります。
ここでは主な3つを、わかりやすく紹介します。
① コストが上がって、もうけが減っている
最近は、原材料費や光熱費、人件費など、あらゆるコストが上がっています。
でも、売る値段(販売価格)を上げられない会社が多く、利益が出にくくなっています。
この「販売不振」が、倒産の原因として一番多いです。
② コロナの“後始末”が始まっている
コロナの時期に、国が無利子・無担保で貸した「ゼロゼロ融資」を受けた会社がたくさんありました。
その返済がここ数年で本格的に始まり、「返せない」「資金が回らない」というケースが増えています。
いわば、**コロナ支援の“反動倒産”**です。
③ 人手不足と後継者問題
どの業界でも人手不足が深刻です。
とくに地方では「働き手が見つからない」「社長の後を継ぐ人がいない」ことが原因で、
やむを得ず会社をたたむケースが増えています。
増えている業種や地域
倒産が増えているのは、特定の業界だけではありません。
ただし、特に目立つのはこの3つです。
- サービス業(飲食・宿泊・介護など)
- 小売業(商店・ネットショップなど)
- 建設業(下請け中心の会社など)
地域別では、関東や近畿で件数が増えていますが、今では全国的に広がっている状況です。
「清算型倒産」がほとんど
倒産と聞くと、再建を目指す「民事再生」などを思い浮かべるかもしれませんが、
実際には、会社をたたむ“清算型倒産(破産など)”が全体の8〜9割を占めています。
つまり、「もう続けられない」と判断して会社を閉めるケースがほとんどです。
これからの注意ポイント
「自分の会社は関係ない」と思っていても、取引先や仕入れ先が倒産すれば影響は避けられません。
個人事業主や中小企業の方ほど、次のような点を意識しておくと安心です。
- 毎月の資金繰りを早めに確認する
- 取引先の経営状況を定期的にチェックする
- コスト上昇分を販売価格に反映できるか見直す
- 不安があれば、税理士や専門家に早めに相談する
まとめ
ここ数年、日本の倒産件数は少しずつ増えています。
原因の多くは、「物価高」「人手不足」「コロナ後の返済」といった複合的な問題です。
ただし、これは一部の企業だけの話ではなく、社会全体の変化のサインとも言えます。
今後も中小企業を中心に、経営の厳しさが続くことが予想されます。
だからこそ、
「早めの点検」と「小さな備え」が大切です。
「うちの会社は大丈夫かな?」と感じたら、
まずは信頼できる専門家に相談してみてください。
一歩早い行動が、倒産を防ぐ大きな力になります。
📝ワンポイントまとめ
- 倒産件数は2024年度に1万件超えの見込み
- 小規模企業の倒産が中心
- 主な原因は「販売不振」「ゼロゼロ融資の返済」「人手不足」
- 8〜9割が清算型倒産(再建ではなく廃業)
- 早めの資金確認と相談が大切
