―― 倒産から再出発までを振り返って ――
倒産から始まった“思いがけない転機”
あの日、会社の倒産を知らされたときは、
正直、頭の中が真っ白になりました。
「これからどうすればいいんだろう」
「家族を守れるだろうか」
そんな不安ばかりが押し寄せ、
しばらくは現実を受け止めることすら難しかったのを覚えています。
けれど、時間が経つにつれて、少しずつ気づきました。
倒産という出来事は確かに辛かったけれど、
それがなければ「自分を見つめ直すきっかけ」もなかったのだと。
そこから始まった再スタートの道のりで、
私は3つの大切なことを学びました。
① 「仕事=自分」ではないという気づき
倒産を経験するまでは、
仕事がうまくいかないことは「自分の価値が下がること」だと思っていました。
しかし、いざ会社がなくなってみると、
どれだけ頑張っていても、自分の力ではどうにもできないことがある――
そんな現実を思い知らされました。
そこから、「仕事」と「自分」は切り離して考えるようになりました。
会社がどうなろうと、自分という人間の価値は変わらない。
むしろ、働き方を変えても前に進めることが、
**“本当の強さ”**なのだと気づいたのです。
② 焦らず、立ち止まる勇気を持つ
倒産直後は、
「すぐ次を見つけなきゃ」と焦って求人サイトを見漁っていました。
でも、年齢や条件に合う求人は少なく、
現実を突きつけられたようで、ますます不安に。
そんなとき、妻に言われた一言が心に残っています。
「焦って決めて、また苦しい思いをするほうがもったいないよ。」
その言葉に背中を押され、
一度立ち止まって“自分は何を大切にしたいのか”を整理することにしました。
その時間があったからこそ、
次の職場では落ち着いてスタートを切ることができたのだと思います。
焦るよりも、立ち止まる勇気。
それが転職を成功に導く第一歩でした。
③ 人とのつながりがチャンスを運んでくれる
最終的に私が今の職場――医療法人の本部――に転職できたのは、
“ご縁”の力でした。
以前、内定をもらいながら辞退した会社の社長と、
その後もゴルフや食事を通じて交流が続いていました。
そして数年後、そのゴルフで知り合った医師が声をかけてくれたのです。
「法人運営を手伝ってくれないか?」
これが今の仕事につながりました。
あのとき、無理に関係を断たず、誠実に接していたことが、
思いがけない形で実を結んだのです。
転職活動では「ご縁なんて」と軽く見られがちですが、
人とのつながりこそが、最大の財産だと感じました。
結論:転職は「やり直し」ではなく「更新」
転職というと、“リセット”のように思うかもしれません。
でも、実際はこれまでの経験を引き継ぎながら、
自分をアップデートするチャンスだと感じます。
銀行員としての経験も、製造業での苦労も、
すべて今の仕事の中で活きています。
だからこそ、もし今、環境の変化に悩んでいる人がいたら、
声を大にして伝えたいです。
転職は「逃げ」ではない。
自分の人生をもう一度、前向きに描き直す“選択”です。
最後に:これから転職を考えるあなたへ
倒産からの再スタートは決して楽な道ではありませんでした。
けれど、あの経験があったからこそ、
「働くこと」「生きること」の意味を見つめ直すことができたと思っています。
転職には不安がつきものです。
でも、その不安の先には、必ず新しい景色があります。
どうか焦らず、自分のペースで進んでください。
あなたのキャリアにも、必ず“次のステージ”が待っています。
エピローグ
―― 「今が一番いい」と思えるようになるまで
倒産から始まったこの物語も、
気づけば「自分らしく働く」という形にたどり着きました。
これまで支えてくれた家族、仲間、
そしてあのときの自分に、心から「ありがとう」と言いたいです。
