第7話 年収交渉・条件交渉のポイント

転職体験記

―― 納得のいく転職のために ――

面接の終盤、言い出せなかった「年収」の話

転職活動を進める中で、いくつかの企業から「最終面接」まで進んだときのことです。
手ごたえも悪くなく、担当エージェントからも「先方は前向きです」と聞かされていました。

ところが、提示された条件を見て、正直すこし戸惑いました。

前職よりも年収が50万円ほど低い
仕事内容はやりがいがありそうでしたが、生活を考えるとそのまま受け入れるのは難しい。

でも、「せっかく内定をもらえそうなのに、強く言って印象を悪くしたくない」――
そんな思いが頭をよぎり、交渉の言葉が出てきませんでした。


年収交渉は“悪いこと”ではない

このとき、担当エージェントに相談したところ、
意外な言葉が返ってきました。

「年収交渉は悪いことじゃありません。
条件のすり合わせは“お互いのため”なんです。」

企業側も、採用したい人材が生活に困ってすぐ辞めてしまうことを避けたい。
だから、無理のない範囲で希望を伝えることは誠実な姿勢だというのです。

私はそのアドバイスを受けて、
「仕事内容にはとても魅力を感じています。ただ、年収について再検討いただくことは可能でしょうか」
と、エージェント経由で伝えてもらいました。

結果、提示額は20万円アップ
すべてが希望通りとはいきませんでしたが、
お互いに納得した形で入社を決めることができました。


交渉を伝えるタイミング

年収交渉や条件の相談は、タイミングが非常に大切です。

私の経験上、最もスムーズなのは
「内定が出た後、承諾する前」

内定が出る前に強く条件を主張してしまうと、
「この人は条件ばかり気にしている」と見られるリスクがあります。

一方で、内定を承諾した後ではもう遅い。
企業としては契約が成立してしまっているため、再交渉が難しくなります。

ですから、**“内定通知書を受け取ってから、承諾するまでの間”**が最適なタイミングです。


伝え方のコツ:感情ではなく「根拠」で話す

希望条件を伝えるときに気をつけたいのは、
感情的ではなく、客観的な根拠を添えることです。

たとえば、

  • 「前職の年収を基準に考えております」
  • 「職務内容に即した水準として、○○万円程度を希望しています」
  • 「生活のためではなく、仕事に集中するために必要な水準と考えています」

こうした言い方をすれば、
相手も「わがまま」ではなく「合理的な交渉」と受け止めてくれます。


年収だけでなく“条件面”も重要

転職時の条件交渉というと、年収だけに目がいきがちですが、
実際には働き方や待遇面の調整も大切です。

たとえば、

  • 勤務地(転勤の有無)
  • 残業時間・休日数
  • フレックス制度や在宅勤務の有無
  • 試用期間中の給与条件

これらも事前に確認しておかないと、
入社後に「こんなはずじゃなかった」と後悔する原因になります。

私自身も、倒産を経験して「安定して働ける環境」を重視するようになったため、
給与額よりも勤務環境の安心感を優先して決めました。


エージェントを味方につける

エージェントを通じて転職している場合、
年収交渉は直接企業に言うよりも、エージェントに任せるのがおすすめです。

彼らは日常的に企業と条件調整を行っているプロ。
自分では伝えにくいことも、上手にクッション役となって交渉してくれます。

「少し言いにくいな」と感じたら、
まずは担当者に正直に相談してみましょう。


まとめ:自分の価値を過小評価しない

転職活動では、
「お願いする立場」と感じて遠慮してしまう人が多いですが、
実際には企業もあなたを必要としているからこそ採用するのです。

年収や条件の交渉は、自己主張ではなく“相互理解のための対話”。
しっかり伝えれば、結果的にお互いが気持ちよくスタートを切れます。


次回予告:第8話「新しい職場での試練と学び」

転職してしばらく経つと、
「想像と違う現実」に戸惑うこともあります。

次回は、私が新しい職場で直面したギャップと、
それをどう乗り越えたかをお話しします。

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